日本では今後も少子高齢化が進み、ますます高齢者人口が増加すると予測されています。これに伴い、老人ホームや介護施設の需要は高まる一方ですが、昨今の物価上昇や人件費の高騰によって経営が厳しい事業所も少なくありません。
そんな中で「少しでも支出を減らしたい」と考えるオーナー様におすすめなのが太陽光発電の導入です。
「電気代を節約できるけれど、初期費用が高い」というイメージの太陽光発電ですが、実は太陽光発電は老人ホーム・介護施設と非常に相性が良い設備なのです。
本記事では、太陽光発電が老人ホームや介護施設と相性抜群である理由や、導入効果を最大限に高めるために事前に確認すべきポイントについて解説します。
施設の運営に携わる方は、ぜひ参考にしてください。
電気代高騰が止まらない今、注目すべき「太陽光発電」という選択肢
近年の物価高騰により、様々な分野でエネルギーコストの上昇が大きな課題となっています。
エネルギーにかかるコストを東日本大震災の前と比較すると、現在は約25%強も値上がりしています。
主な原因は、不安定な国際情勢に伴う化石燃料の輸入コストの増加、再生可能エネルギー普及のための「再エネ賦課金」、さらには為替(円安)の影響も受けています。
専門家の間では、この傾向は一時的なものではなく、今後もさらに加速する可能性が高いとも指摘されています。
こうした流れは、電気の使用量(電力会社からの購入量)が多い利用者にはとくに負担が重くのしかかってきます。
そういった中で電気代の高騰に対してまず思い浮かぶのが「節電」ですが、老人ホームや介護施設では、入居者の快適性や安全性を確保する必要があるため、過度な節電は現実的ではありません。
もちろん無駄を省くことは大切ですが、それだけで大きな効果を得るのは難しいのが実情です。
そこで注目したいのが、太陽光発電による再生可能エネルギーの活用です。
老人ホームや介護施設の電力消費の内訳を見ると、空調設備と照明設備で全体の5割以上を占めるというデータが出ています。
日中は電気料金も高めに設定されているため、日中に太陽光で発電した電力を自家消費に回すことで、電気料金を大幅に削減することが可能です。
太陽光発電で近年主流となっているのは、発電した電気をまず自分の施設で使う自家消費型の仕組みです。
近年の電気料金の高騰からも、自家消費による電気料金の削減効果は以前にも増して増えています。
太陽光発電システムは導入時に一定の費用がかかりますが、老人ホーム・介護施設は消費する電力量が、料金が高い日中に集中して多いことから、電力会社から購入する電力量を減らすことで、その分のコスト削減効果をすぐに得られるのはもちろん、初期費用にかかったコストも他分野と比べて、早く回収できる可能性が高い傾向にあります。
老人ホーム・介護施設と太陽光発電の相性は◎
太陽光発電と老人ホーム・介護施設の相性が良いと言われる最大の理由は、「日中に多くの電力を使う」という点です。
多くの施設では、日中に入浴介助・食事の準備・清掃・洗濯など、電力を消費する活動が集中します。太陽光発電は日射量が多い昼間に最も多く発電するため、その電力を効率よく自家消費できるのです。
発電した電力を無駄なく使えるという点で、非常に効率的なエネルギー運用が可能となります。
環境配慮型の経営をアピール
環境問題への関心が高まる中で、「再生可能エネルギーを活用している施設」というのは利用者やその家族、自治体からの印象も良くなります。
CSR(企業の社会的責任)やESG経営の一環としても評価されやすく、採用活動や地域との信頼関係構築にもプラスに働きます。
実際に「環境にやさしい施設づくり」を打ち出すことで、ブランディングや入居促進に成功している事例も増えています。
導入を検討する際に押さえておきたいポイント
屋根や設置スペースの状態を確認する
太陽光パネルを設置するには、一定の面積が必要です。
最近では新たに土地を用意するよりも、初期費用の面でもメリットが大きい、既存の建物の屋根上を活用するケースが増えています。
ただし、施設の屋根が古く、劣化が進行している場合は、別途防水工事や耐荷重の確認を行って、安全性を確保する必要があります。
当社では通常のソーラーパネルの1/2程の重量の「軽量ソーラーパネル」を取り扱っていますので、屋根への負担を軽減し、安心してソーラーパネルを設置することが可能です。
自家消費率を最大化する設計
導入の目的が「電気料金の削減」である場合、発電した電力をどれだけ施設内で使えるかが重要です。
発電量と使用量のバランスをシミュレーションし、最も効率よく自家消費できるシステム設計を行うことが大切です。
必要に応じて、蓄電池を併設して夜間の利用をカバーするのも効果的です。
補助金・助成金を活用する
国や自治体では、再生可能エネルギー設備の導入を後押しするための補助金制度が用意されています。活用すれば初期投資の費用を大幅に抑えられます。
※補助金については自治体によって内容が異なるため、施設の所在地を管轄している機関に問い合わせして確認する必要があります。
導入事例・シミュレーション例
それでは、ここからは実際に導入する前と後で、どのような違いがあるのかを、事例を参考に見てみましょう。
【事例①】中規模介護施設(定員50名)
想定条件:所在地:九州地方/設置容量:30 kW/蓄電池なし
こちらの施設は日中の電力使用が多いため、発電した電力を自家消費に回す目的で太陽光発電システムを導入しました。
・年間消費電力量:約80,000 kWh(空調・洗濯・給湯など含む)
・そのうち太陽光による自家発電分:約35%
結果として、年間で約35万円の電気料金削減効果が得られました。
また、発電状況をモニター表示して「環境配慮型施設」であることを来訪者・職員に見える化し、施設ブランディングとしても活用しています。
【事例②】地方の老人ホーム(定員80名)
想定条件:所在地:九州地方/設置容量:50 kW/蓄電池併設
こちらは災害時の停電対策も見据えて、太陽光+蓄電池を併設しました。
・通常時:太陽光で発電 → 自家消費
・夜間・停電時:日中に発電してあまった電力を蓄電池に蓄え使用
電気代削減に加えて、最大約10時間の非常用電力確保の体制を整えることができました。
導入前チェックリスト
老人ホーム・介護施設に太陽光発電の導入を検討する際に、押さえておきたい確認事項を以下にまとめました。専門的な部分も多いため、これらは当社のような太陽光発電事業者に調査を依頼することをお勧めします。
【施設・建物の確認項目】
□ 屋根の向き・傾斜・遮蔽物(隣接建物・木々など)を勘案し、日照条件が十分に確保できるか
□ 屋根構造・躯体の耐荷重・築年数・補修履歴など劣化リスクがないか
□ パネル設置予定面積・設置可能スペースが十分に確保できるか
□ 配線経路・パワーコンディショナー・監視装置の設置場所の確保可否
□ 雪害・塩害・風害など、地域特有の自然リスクがないか(例えば、積雪地・海岸近くなど)
□ 設置後のメンテナンス・清掃・モニタリング体制を整備可能か
【運用・コスト面の確認項目】
□ 現在の電力契約内容・年間電力使用量を正確に把握しているか
□ 昼間(発電効率が最も良い時間帯)の電力消費量が大きく、自家発電の意義が高い運用形態か
□ 自家消費を主目的とするか、売電も併用するかを明確にしているか
□ 導入予定容量に対して、自家消費率や削減効果、回収期間をシミュレーションしているか
□ 蓄電池やエネルギーマネジメントシステム(EMS)を併用するか、その必要性を検討しているか
□ 施工会社・メーカーの実績、保証・保守体制、監視サービスの内容を確認しているか
□ 保険・災害対策(例えば落下・破損・屋根被害など)を含めてリスク管理ができているか
まとめ
電気料金の高騰は今後も避けられないと言われている中で、太陽光発電は、その影響を受けにくい「エネルギーの自立化」を実現する手段です。
特に電力を日中に多く消費する老人ホーム・介護施設では、エネルギー自給率を高めることで、経営の安定化・入居者の安心・地域貢献のすべてを同時に叶えることができます。
導入を検討する際は、信頼できる施工会社に相談し、最適なシステム設計、運用を選定していきましょう。
太陽光発電に関してお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
当社では第一種電気工事士、一級電気工事施工管理技士、第三種電気主任技術者が常駐していますので、キュービクルの施工案件も含めて、現地調査→施工→管理→保守・メンテナンスまでを一貫しておこないます。
また、自社ブランドの新築戸建て住宅(戸建て住宅の実績はこちら)や、新築マンション(マンションの実績はこちら)のハウスメーカーでもありますので、屋根の構造や建築実績に関してもご安心頂けます。
当社では長年に渡る太陽光発電事業によって得た実績とノウハウで、お客様の現在の状況とご希望をヒアリングし、お客様にとって最適なプランを検討、ご提案させていただきます。
これから太陽光発電設備の導入、または補修やメンテナンス工事をご検討される際には、是非、株式会社ダックスまでお気軽にご相談ください。
他にも、西部ガスホールディングス株式会社様、伊藤忠エネクス株式会社様、株式会社タクス様など、多数案件をとり扱っています。
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