工場や店舗、オフィスビル、マンションなどで高圧受電をおこなっている建物では、電気設備の安全と安定稼働を維持するために、キュービクル(高圧受変電設備)の適切な点検・更新が重要です。
しかし、いざ「キュービクルを更新したい」と考えても、「何から始めればいいのか」「工事にはどれくらい時間がかかるのか」「停電は必要なのか」など、分からないことも多いのではないでしょうか。
キュービクルの更新工事は、単純に古い設備を新しいものへ交換するだけではありません。
現地調査から設備仕様の検討、施工計画、停電に関する調整、既設設備の撤去、新設設備の据付・接続、試験まで、いくつもの工程があります。
今回は、キュービクル更新工事を検討している方に向けて、計画から施工完了までの一般的な流れと、工事を進める際に注意したいポイントをわかりやすく解説します。
キュービクル更新工事は「計画」が重要
キュービクルは、電力会社から高圧で受電した電気を、変圧器などによって使用する電圧に変換し、建物内へ配電するための重要な設備です。
そのため、故障してから慌てて交換するのではなく、設備の状態やメーカーの更新推奨時期などを確認しながら、計画的に更新を検討することが大切です。
経済産業省の主任技術者制度に関する資料でも、主遮断装置などの更新計画について、メーカーが示す更新推奨時期や設備の使用状況などを考慮し、電気主任技術者と相談して計画する考え方が示されています。
キュービクルは、建物の電気を支える設備です。「まだ使えているから大丈夫」と考えるのではなく、点検結果や設備の経年状況を確認し、余裕を持って更新計画を立てることが重要です。
キュービクル更新工事の一般的な流れ
キュービクルの更新工事は、一般的に次のような流れで進みます。
1.キュービクルの更新計画を立てる
まずは、現在使用しているキュービクルの状態を確認し、更新が必要かどうかを検討します。
更新を検討するきっかけには、設備の経年だけでなく、点検での指摘、部品の供給状況、設備容量の変更、建物の用途変更などがあります。
また、キュービクル全体を交換するのか、一部の機器を更新するのかによっても工事内容は変わります。
そのため、施設の管理担当者だけで判断するのではなく、電気主任技術者や専門業者と相談しながら更新計画を立てることが重要です。
2.現地調査をおこなう
更新計画が決まったら、実際の現場を確認します。現地調査では、キュービクル本体だけを見るのではありません。
たとえば、次のような項目を確認します。
既設キュービクルの寸法・設置場所
高圧ケーブルや低圧側配線の状況
基礎や架台の状態
搬入・搬出経路
周辺設備との位置関係
電気容量や回路構成
接地設備
既設設備の銘板・仕様
工事に必要な作業スペース
特に重要なのが、新しいキュービクルをどのように搬入するかという点です。
既設設備と同じ場所に設置する場合でも、新しい設備の寸法や重量が変わる可能性があります。そのため、現地を確認せずに工事方法を決めるのは難しく、事前の現地調査が重要になります。
3.新しいキュービクルの仕様・施工方法を決める
現地調査の結果をもとに、新しいキュービクルの仕様を検討します。
必要な容量や回路構成だけでなく、設置スペース、既設ケーブルとの接続、将来的な設備増設なども考慮して仕様を決めることがあります。
また、工事方法についてもこの段階で検討します。
たとえば、「既設設備を撤去して同じ場所に新設する」「一時的に別の場所へ仮設設備を設置する」「既設設備の一部を残して段階的に更新する」など、現場によって適した方法は異なります。
建物を営業・操業しながら工事をおこなう場合は、停電時間をどのように短縮するかも重要なポイントになります。
4.見積・契約をおこなう
仕様と施工方法が決まったら、工事費用や工程を確認します。
キュービクル更新工事では、キュービクル本体だけでなく、搬入・撤去費用、電気工事費、試験費用、場合によっては基礎工事や仮設設備などの費用が発生します。
そのため、見積書を見るときは「キュービクル本体の価格」だけではなく、どこまでの工事が含まれているのかを確認することが大切です。
また、停電を伴う工事では、建物の営業や生産設備などへの影響も考慮して工程を決めます。
5.停電計画・工事スケジュールを調整する
キュービクル更新工事で特に重要なのが、停電を伴う作業の計画です。
キュービクルを更新する場合、既設設備の停止や電線・ケーブルの切り替えなどが必要になるため、工事内容によっては建物全体または一部の停電が必要になります。
そのため、「いつ停電するのか」「何時間程度の停電が必要なのか」「営業・操業への影響はあるのか」などを事前に確認します。
工場などでは、生産設備を停止するための調整が必要になる場合もあります。
病院や店舗、オフィスなどでも、照明・空調・通信設備・防災設備などへの影響を事前に確認する必要があります。
6.既設キュービクルを撤去する
工事当日は、事前に決めた手順に従って停電・安全確認をおこない、既設設備の撤去作業を進めます。キュービクル内部には高電圧の充電部が存在するため、電気工事では安全確保が非常に重要です。
経済産業省も、キュービクルなどでの作業に関連する感電事故について、安全管理ルールや作業手順の徹底、作業前の安全確認などを呼びかけています。
そのため、キュービクル更新工事は、単に「古い箱を取り外して新しい箱を置く」という工事ではありません。停電や検電、接地など、作業内容に応じた安全措置を適切におこないながら作業を進める必要があります。
7.新しいキュービクルを搬入・設置する
既設設備の撤去が完了したら、新しいキュービクルを搬入します。キュービクルは重量があるため、設置場所までの搬入経路やクレーンなどの揚重方法を事前に検討しておく必要があります。
設置後は、基礎や架台への固定、各機器の状態などを確認します。また、扉の開閉スペースや保守点検のための作業スペースなど、設置後のメンテナンス性も考慮します。
8.ケーブル接続・各種試験をおこなう
キュービクルを設置した後は、高圧ケーブルや低圧側の配線などを接続します。その後、設備が正常に動作するかを確認するため、工事内容に応じた各種試験・確認をおこないます。
たとえば、絶縁状態や保護装置などについて確認し、問題がないことを確認したうえで受電・復電へ進みます。
この工程は、更新工事の中でも非常に重要です。
設備を設置しただけで工事完了とするのではなく、安全に電気を供給できる状態になっているかを確認することが必要です。
9.受電・復電して設備を確認する
試験・確認が完了したら、所定の手順に従って受電・復電します。復電後は、キュービクルだけでなく、建物内の電気設備が正常に動作しているかを確認します。
照明や空調、動力設備など、停電によって停止していた設備を順番に確認していきます。
特に工場などでは、生産設備を再稼働させる際に、設備ごとの確認が必要になる場合があります。
10.工事完了・引き渡し
最後に、工事内容や試験結果などを確認し、必要な書類を整理して引き渡しとなります。
更新後は、新しいキュービクルを安全に使用し続けるため、定期的な点検・保守をおこなうことも大切です。
また、キュービクルなどの自家用電気工作物では、電気事業法に基づく保安体制が必要となるため、更新工事についても電気主任技術者と連携して進めることが重要です。
更新工事を「新しい設備に交換したら終わり」と考えるのではなく、更新後の維持管理まで含めて計画するようにしましょう。
※実際の工程や必要な手続きは、設備容量、建物の用途、既設設備の状態、工事内容などによって変わります。
キュービクル更新工事で注意したい3つのポイント
1.余裕を持って更新計画を立てる
キュービクルは納期や工事日程だけでなく、停電調整や設備仕様の確認などにも時間が必要です。
故障してから更新するのではなく、設備の状態を確認しながら、早めに計画を始めることをおすすめします。
2.停電による影響を事前に確認する
工事そのものだけでなく、停電によって営業・操業にどのような影響が出るかを確認しましょう。
特に工場や店舗などでは、電気を使用できない時間をできるだけ短くするための工程計画が重要です。
3.施工後の保守まで考える
キュービクルは設置して終わりではありません。定期的な点検や保守をおこない、設備の状態を継続的に確認することが大切です。
更新時には、施工だけでなく、その後の点検・メンテナンスまで相談できる業者を選ぶと安心です。
まとめ
キュービクル更新工事は、現地調査から始まり、設備仕様の検討、見積・契約、停電計画、既設設備の撤去、新設キュービクルの設置、各種試験、受電・復電、引き渡しという流れで進めるのが一般的です。
特に重要なのは、工事当日だけではなく、事前の計画をしっかりおこなうことです。
建物の用途や設備構成によって適切な工事方法は異なるため、電気主任技術者や専門業者と相談しながら、停電による影響や施工方法を含めて計画することが大切です。
また、キュービクルは建物の電気を支える重要な設備です。更新後も適切な点検・保守を続けることで、安全で安定した電気設備の維持につながります。
キュービクルの更新工事や改修、点検・メンテナンスを
ご検討の際は、お気軽にご相談ください。
当社では第一種電気工事士、一級電気工事施工管理技士、第三種電気主任技術者が常駐しています。キュービクルの更新・改修工事をはじめ、現地調査から施工、管理、保守・メンテナンスまで、一貫した体制で対応しています。
また、自社ブランドの新築戸建て住宅(戸建て住宅の実績はこちら)や新築マンション(マンションの実績はこちら)のハウスメーカーでもあるため、建物の構造や設備に関する知識・実績を活かしたご提案も可能です。
キュービクルの老朽化や設備の更新時期、停電を伴う工事などについてお悩みの場合は、現在の設備状況やご希望をお聞きしたうえで、お客様に適した更新方法をご提案いたします。
これからキュービクルの更新工事、改修、保守・メンテナンスをご検討される際には、ぜひ株式会社ダックスまでお気軽にご相談ください。